保険適用外サービスを全力で売る悪徳な歯科医院に学ぶマーケティング

投稿日:2017年11月17日

悪徳歯科医院

こんにちは、1万2千円の保険適用外サービスを本気で売ってくる、近所の歯科医院のマーケティングに感心してしまったマコシャークです。

僕は日本に帰ってきてから5ヶ月は経ちますが、ずっと歯医者さんにいっています。外国で歯の治療するのが怖かったので、そのままにしていた大きな虫歯が1つあったのです。

虫歯はかなり進行しており、難しい治療は大きな病院にも行っていましたが、先週、「ここからは普通の歯科医院でも大丈夫。」ということを言われたので、近所の歯科医院(仮にA歯科医院とする)に行くことにしました。

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A歯科医院に対する思い

当時のA歯科医院のイメージ

A歯科医院には1年半前に一度だけ行ったことがあります。その時はまだ海外で仕事をしていたのですが、親知らず2本に虫歯ができてしまったので抜いてもらおうと、休暇を使って日本に帰ってきていました。

しかし1週間後には海外に戻らないといけなかったので、親知らずを2本も抜いてもらうのは無茶かなーとも思っていたのですが、A歯科医院はそれを快く聞き入れてくれて処置してくれました。

以前のA歯科医院

それ以来、A歯科医院には行っていませんでしたが、とても好印象でした。悪い点をしいて言うなら、歯の磨き方を教えてもらうという工程をいつの間にか組み込まれて、300円程度の歯ブラシを買わされたことくらいでした。

これはもともと自分の歯ブラシを持ってきていれば買わずに済んだらしいのですが、受付の人のミスで事前に歯ブラシを持ってくるように言われていませんでした。

つまり歯科医院のミスで歯ブラシが無いというのに、そこで「300円くらいだから。ね。」と言われて歯ブラシを買うことになったのです。まぁこれはしょうがないし、別に僕も300円程度で文句は言いません。そこに悪意も感じなかったからです。

しかし今思うとこの些細なことは、A歯科医院の傲慢な本性が垣間見えた瞬間だったのかもしれません…。

変貌を遂げていたA歯科医院

僕は99%くらいの確率でA歯科医院は良い歯科医院だろうなと思って、今回もA歯科医院に行ってみることにしたのです。しかし、結果的に言えばA歯科医院は、僕が予約していた時間、約1時間のほぼ全てを使って、治療に見せかけながら、僕に1万2千円の保険適用外の検査を受けさせるための説明や、検査が重要であるという布石を散々うち、そして最後には「この検査を受けない限り診察は出来ない。」と畳み掛けてくるような悪徳な歯科医院だったのです。

悪徳歯科医院長

A歯科医院の方針で最初に必ず受けないといけない検査があるのなら予約の電話の時点で言ってよ。と思いますよね。しかし、僕が検査の話を聞いたのは診察がスタートして50分後くらい。つまり、もうそろそろ帰れるなーって頃に、1万2千円という金額、絶対に受けないといけないという事実の両方を告げられました。

僕は納得がいかなかったので受診し続けることは止め、初診の料金のみを払って帰ってきました。

しかし、冷静になってよく考えてみると、このA歯科医院はマーケティングに関しては凄く考えられた悪どい仕組みをとっていることに気づいたので、一つ一つ順を追って詳しく考えてみようと思います。

A歯科医院の悪徳な手口の全容

まずは診察と称して布石をうつ

僕は待合室で名前を呼ばれて、診察がスタートしました。歯の症状を聞かれたり口の中を診られましたが、これはどこの歯科医院も同じでしょう。そして、簡単な歯のレントゲンをとったり、口の中の写真を取られたりしていたのですが、ここまでで20~30分が経っています。ここまでは何の疑いもないはずなのですが、今考えるとA歯科医院の布石は既に始まっていたと言えるでしょう。

カメラで口内を撮影

それらのレントゲンや撮影した歯の写真を目の前にあるモニターに、でかでかと映して医院長が歯の説明していたのですが、その内容は型にはまった感じのもので、「歯石がいっぱいたまっています。」とか「虫歯がいっぱいあります。」という感じでした。

恐らくすべての客(あえて患者とは言わない)に、誰にでもあるような小さな虫歯や歯石を大げさに言い、先程撮った証拠写真を見せながら客の不安を煽り、1万2千円の検査をすることの重要性をしっかりと叩き込んでおくのです。

そんなのは僕の被害妄想であり、憶測にすぎないと思うかもしれません。

しかし、なぜ僕にこんなことが言えるのかというと、僕はつい先週まで別の歯科医院に行っていて歯石除去もしたばかりだったのです。それなのに歯石が溜まっていると言われたので、流石におかしいなと思ったのです。

後日、別の歯科医院に行って聞いてみると「歯石は特に溜まっていないですね。」と言われたので、間違いなく問題ないレベルだったはずです。

また、後から聞いたのですが、実は僕の母もA歯科医院に行ったことがあり、そのとき母も初診のときに同じように写真をとられ、自分の歯の悪いところを見せられながら同じようなことを散々言われたそうです。

だからこれは、初めてきた(もしくは久々にきた)客に歯石と虫歯の不安を煽るためのフローが組まれているのだろうと察することができたのです。

悪い状態

しかし、このときの僕はまだ1万2千円の検査のことなんて少しも聞いていないので、この不安を煽る行為はきっと「悪い歯がいっぱいあるから、これからも通院しないとひどいことになるぞっ!」という脅しだと解釈していました。

事前に言質をとっておく

そして、何気なく医院長は話を続けます。

「まずはお口の中を数回の来院で詳しく検査することから始めますけど、よろしいですか?」と。

多くの人はここで「はい。」と答えるでしょう。

しかし、実はここが最大のポイントなのです。

医院長が言ったこの言葉は、何も知らない客からすると、保険適用の治療の一環として行われるものだと当然思うはずです。しかし、その内容にはこの時点で一切の事前説明がありません。

そこに残るのは、「検査をするけど良いか」と聞かれたことに対する「はい」と答えた事実です。もちろん、これだけで1万2千円の検査が確定しないのはA歯科医院側も承知の上なのですが、これが重要なので覚えていてください。

客を別室にうつして一対一にする

僕が「はい。」と答えると、別の女性の事務員のような人が来て、この人が今後の来院に関して説明をします。とのことでした。

医院長の説明は長かったので、この時点で既に診察開始から30~40分経っていました。初回は説明多めになるのは仕方ないし、後は今後の説明を聞いて終わりかーと呑気に思っていると、その女性に狭い別室に連れて行かれ、面と向かって一対一の状態になりました。

女性は手際よくパソコンのモニターを見せ、「これは先程、○○(僕)さんの口から採取した菌です。」と言いました。モニターには画面いっぱいに菌がうごめいている映像が映し出されています。

細菌うじゃうじゃ

そう、この女性はまず、先程の医院長の説明による不安煽りの駄目押しをしはじめたのです。これには僕も

いや、これぜったい貴方の口の中にもいるでしょ。

と、僕は心の中で突っ込みました。口の中は普通の人でも細菌だらけだということを知っていたからです。帰って改めて調べてみると、いくら殺菌効果の高いマウスウォッシュでうがいをしても呼吸をしている以上、無菌にはならないそうです。流石にこれはやりすぎですよね。だって誰の口の中にも菌はいるんですもん。

医院長の説明もやっぱり不安を煽るという魂胆があったのだと改めて感じました。

営業のテクニックで説得

女性は早口で次から次に説明をしていきます。本当にこちらに話すスキを与えないように話しているようでした。こればかりは妄想の域ですが、この人は歯科関係の人ではなく営業としての経験を積んだ人ではないかと勝手に思ってしまうほどの話し方でした。

そして次々に飛び交う言葉の中で、この女性がさらっと言った言葉が、「検査は3回の来院で行います。」ということと「保険適用外で5000円ほどかかります。」ということでした。女性は何事もなかったかのように話を続けていましたが、僕はここで衝撃を受けていました。

早口で言う衝撃的な言葉

今まで他の歯科医院では最初にお金がかかるとしても、保険適用の3割負担で高くても4000円以内の料金で受診できていました。それくらいの金額内におさまる話だとばかり思っていた検査が、それとは別に保険適用外で5000円というのです。

そして、ここで初めて気づきました。今までの不安を煽る布石は「これからも通院してね!」ではなく、「もっと歯を大事にするために保険適用外の方の検査も受けてね!」だったことに。

そんなにさらっと言ったからってスルーするわけないでしょ!と思っていたのですが、女性の話に口を出すスキは無く、育ちの良い僕は、とりあえず話は最後まで聞こうと思って相手の話がおさまるのを待つことにしました。

しかし、女性は一切のタイミングを与えず、息継ぎがちゃんとできているか心配になるほど早口で話を続けました。その話の内容は、他の歯科医院ではされたことのない7、8項目ある検査の内容を一つ一つメリットを挙げながら説明するというものでした。

もう本当に10分くらいみっちり早口で話し続けていて、5000円の話があったのは遠い昔のように感じさせ、その金額に関しては僕も既に了承済みのような雰囲気さえかもしだす話し方をしていました。(この話術と戦略には単純に凄いと思いました。)

こうなっては僕自身も、5000円程度で検査ができるのであれば、僕の検査結果をブログで公開しながら「歯についての記事が一つかけるかもしれない…」という謎のポジティブ思考になりかけていました。

本性をあらわした営業

しかし気になったのは、その検査項目の一つとして「プラークスコア」という検査が見覚えのある画像とともにモニターに表示されていたことです。なぜ見覚えがあったのかというと、1年半前にも僕はそれをやっていたからです。

これには育ちの良い僕も、

「あ、これ、以前この歯科医院でやったことあります。」

と、つい言ってしまいました。女性は話を遮られたからなのか、僕のことを完全に初診だと勘違いしていたからなのか分かりませんが、少しだけ驚いたような顔で、うるさい掃除機をOFFにしたかのように突然黙り込みました。

TURN-OFF

そして目を丸くした女性が次に見つけた言葉は

「あーでも、その時の数値、覚えてます?」

数値…?

どうやらプラークスコアというものは、1年半という月日が経っていても、聞かれたら答えられるくらい把握していて当然の重要な数値だったようですね。僕はそんな数値は覚えていないですし、その数値がいるならこの歯科医院にデータが残っているのではないかと思いましたが、女性は僕の返答を待たずに話を続けます。

「結構前に検査されているのであれば口の状態は変わってきますからね…」

おそらく僕が数値を覚えていたら次に返す言葉がないと判断したのか、別の理由で念押ししてきたようでした。

しかし、僕がどうしても納得いかなかったのはそれだけではありません。前回はプラークスコアしかやっていないのに、なぜ今回は7、8項目をやるのかということです。僕はもう一度、女性の話を遮って言ってみました。

「うーん、やっぱり一度やったことのある検査もありますし、こんなにいっぱい検査ってしなくちゃいけないんですか?前回はそんなにしてなかったんですけど…。」

僕がそう言うと、彼女はとんでもないことを言い出しました。

「でもこれは医院の方針で、診察を受ける前に必ずしないといけない検査なんです。」

医院の方針

は?w

はぁ??www

(いや、声に出しては言ってませんよ。失礼ですからね。)

女性が言うにはつまり、検査を受けるかどうか悩んでいた僕にそもそも選択肢はなかったということです。おそらく1年半の間に医院の方針(という名の販売戦略)が変わったということでしょう。

まぁ僕も5000円くらいなら検査を受けても良いかという気持ちにはなっていたことですし、高ぶる気持ちを抑え、仕方ないかと思いながら説明をちゃんと聞くことにしました。

そして女性の説明は7、8つある検査のすべての説明が終わり、最後のまとめの説明に差し掛かっていました。どういう日程で検査をするか。というような感じです。

しかし説明をうけていると、またしても女性はとんでもないことをさらっと言いました。

「3回の来院で検査を行い、全部で1万2千円が保険適用外でかかります。」

ふぁぁああん??wwww

紳士だった僕も最後の最後でふぁぁああんですよ。(もちろん口に出しては行ってませんよ。失礼ですからね。)

じゃあ、さっき言ってた5000円って何だよ!と思って聞いていると、どうも1回の来院で5000円くらいかかるという意味だったようです。(注意深く聞いていましたが絶対にさっきそんなことは言ってなかったです。)

この時点でスタートから50分くらいが経っていましたが、残り時間は10分程度しかありません。女性は早口で話す勢いに任せて検査の承諾を迫ってくる恐れがあったので少し心配になってきました。

畳み掛ける説明の中で、とんでもないことを次から次に後出ししてくる女性に対して、僕は不安感を覚えながら、これはヤバいと思って

「それはちょっと想定していなかったんですけど…」

というと、女性は すかさず何がダメなのかを聞いてきました。

「それは、何度も通うのが難しいということですか?それとも…
…金銭的な…問題ですか?」

このとき女性は恐らく「金銭的に難しいんですか?」と言いそうになったのを、踏みとどまって言い換えた感じが凄く伝わってきました。

僕がひねくれているからなのかもしれないですが、それはなんとも気を使われているようで、たった1万2千円も出せない低所得者を傷つけないようにしているとさえ感じました。

僕にもプライドがあったので「金銭的な問題のみが原因でダメです。」とは言えず、「どっちもです。」と答えました。(それでプライドが守られるのかどうかは分からないですが。)すると、忙しかったら空いた別の日に時間をとってもらえばいい。ということや、検査の重要性とメリットを繰り返し聞かされました。

おそらく渋った客の対処法がマニュアル化されているのでしょう。大抵、客が渋る理由は時間の問題かお金の問題だから、時間の場合は改めて予約してもらうことで解決し、お金の場合は値下げするわけにもいかないので説明のゴリ押しで根負けを狙う戦法を採用しているのでしょう。

完全マニュアル

A歯科医院に行ったばっかりに本当に面倒なことになったと思いました。僕のそのときの状況を例えるならば、訪問セールスをする人の家を、逆に訪問してしまったかのような状況です。恐ろしいですよね。

後から地味に効いてくる事前の言質

これ以上は同じ説明を繰り返されるだけだし、僕だけ例外的に検査を飛ばすつもりもないようでした。だから、意を決して断ろうと思ったときに、ふと思い出したのが、医院長の「検査をするけど良いか」と聞かれたことに対して「はい」と答えた事実です。

これは本当に僕に効きました。

一度自分で言ったことを覆さないといけないのです。

客に負い目を感じさせるのはもちろんですが、もっと言えばそのとき「はい」と答えたからこそ、この女性は必死に説明してくれているということです。

僕が検査を受けると言ったから、女性は長々と説明する必要がでてきたし、この医院の方針だから検査を勧める必要がある体裁が整っています。それを僕が「やっぱりやめます」というと、悪いのは完全に僕の方になるのです。これには本当に攻めと守りが上手いと感じます。

立場シミュレーション

もちろん僕の言い分としては、金銭的な話なんて事前に聞いていなかったと主張はできるのですが、「金銭的に厳しいんだ!」ということを堂々と主張することは誰でもしたくないはずです。A歯科医院がここまで考えてこのフローを作ったのであれば、本当に見事な心理戦だと思います。

しかし僕がここで注意するべきことは、「当然検査を受けるでしょ?さっき『はい』って言ったんだから。」ということを、雰囲気と圧力で伝えてくるヤクザみたいな人も世の中にはいるということです。これをされると僕も危なかった。

しかし、今回の女性はそこまで染まってはいないようでした。女性は既に検査のメリットを繰り返すだけのロボットと化していたので、少しでも時間を無駄にしたくなかった僕は勇気をだして「それは想定していなかったので、他の歯科医院を検討します。」と伝えました。

するとありがたいことに、女性はすぐに切り替えて「それでは、今日はこれで終わりです。」と言いました。しつこく言い寄るとA歯科医院側の立場も危うくなるので、この切り替えの速さはA歯科医院にとっても然るべき対処だったのだと思います。

しかし僕はこれで助かりましたが、このやり方だと、NOと言えない人も絶対にいるなと思いました。

もっと言えば、医院長の説明や女性の説得でNOという選択肢すら出てこないように教育されて納得してしまった人も多いと思います。

僕が別室を出て待合室に戻ると、一人の女性が座って自分の番を待っていました。この人も1万2千円を払ってここにいるのだと思うと、なんだか複雑な気持ちになりました。もちろん本人が納得しているのであれば問題ないんですけどね。

客の時間とお金で宣伝をする行為

しばらく僕も待合室で待っていると、呼ばれました。僕が今回の初診で支払った金額は1200円程度です。

1200円を支払う

一応、歯の問診やチェックはしてくれたし、ここまで早口で説明し続けた女性のことを考えると安い気がしますし、この金額はポイント制によって管理された金額であるはずなので文句は言えません。

ここに文句をいうと1200円程度で済んだのに文句をつけるのかと言われるかもしれませんが、あえて言ってみると、

サービスの宣伝を聞くために1200円を払うのかと。

これは言い換えるとこうなります。

テレビのCMだけを見るためにテレビを買うのかと。

人に宣伝することは大変なこと

企業がテレビのCMを1つ作成するのに数千万円はかかります。また、商品を魅力的に見せる映像の工夫や、面白みをだす工夫などが必要になります。なぜなら物を売ったりサービスを売ったりするにはまず、人の目を引くこと。これが必要になるからであり、宣伝する側が努力するのが普通です。

訪問セールスでも罵声を浴びせられながら門前払いされることは普通であり、宣伝の話を聞いてもらうことさえ難しいのです。宣伝とはそういうものです。人に宣伝できる状況というのはそれだけで大変な価値があることなのです。

しかし、A歯科医院のやり方は違います。客がわざわざ予約してとった時間とお金を無許可で利用して宣伝するのです。客が治療中であることをいいことに客を拘束しながら、何十分もサービスの利点を宣伝することができるのです。

それらの説明は、医院長が撮った客の歯の写真や菌の映像の話から始まっているので、その説明を検査の宣伝と思って聞く人はいないでしょうし、途中で帰る客はほぼ100%いないでしょう。

つまり、A歯科医院は何の努力もコストもかけることなく自分たちが宣伝できる状況をつくり、時間やお金のデメリットはすべて客に押し付け、宣伝に全力を尽くしてくるのです。本当に悪どいですよね。

何しに行ったのか

検査を受けた人の末路

僕はその後に、検査はしないと言えたから良かったですが、NO と言えなかった場合は本当に大変なことになります。それは支払う1万2千円のことを言っているのではありません。

せっかく1万2千円払ったからここで受診し続けようという感覚が生まれることが非常に問題なのです。

そのままA歯科医院で受診し続ければ、望まない設備をガンガン使われて費用がかさむ可能性が十分にあります。当然、この時に客が渋れば、その設備を使うメリットを客の時間とお金を使って宣伝されるでしょう。

A歯科医院のサイトを見てみると「当院は説明を重視いたします」と書いてありましたが、よく言ったものだと流石に呆れました。説明じゃなくて宣伝だろうと。

また、宣伝されるだけならまだしも、その設備を使わなければ先に進めないと脅されるかもしれません。もしここで治療ができなくなったら、最初に払った1万2千円の検査や、それまでに払ってきた費用の意味も薄れてしまうからです。

今まで払ってきた分

こんなことは僕が勝手に妄想している治療の方法だと思われるかもしれませんが、現に今回、1万2千円の検査が必要と言われ、これをしないと先に進めないという一種の脅しを受けましたよね、平日の1時間という貴重な時間と1200円のお金を人質に取られて。(結局この人質たちは返ってきませんでしたが)

つまりこれらの危機感は単なる妄想などではなく、既に行われている事実でもあるということです。

客が来なくなっても損しない方法

他にも、例えば「1万2千円の検査を定期的にやらないといけない。」と後から言われた場合はどうでしょうか。1年半前にやった検査も、もう一度やらないといけないと言われた僕の前例を加味するならば、そう言われても何もおかしくありません。

おそらく今回のように「以前の検査の数値は覚えていますか?」とか「以前とは口の中の状態が確実に変わっているので…」とか言われて、定期的な検査を迫られるのでしょう。

もしあなたがA歯科医院で治療中の歯があるときにそんなことを言われたら、断ることができるでしょうか。

しかし残酷なことに、たとえあなたはA歯科医院にこれ以上良い思いをさせたくないと思って、断ることができたとしても、A歯科医院は毅然とした態度をとるでしょう。

なぜなら、1本の虫歯を治すつもりで来院した人でも、1万2千円は最初に確実にとっていくため、途中で通院を止めるような長続きしない客でも最低限の利益はとることができているからです。上手くできていますね。

この仕組みを知って思い出したのは、漫画の闇金ウシジマくんです。ウシジマくんの経営するカウカウファイナンスという闇金は、一部の客にはお金を貸す際に、あらかじめ利子と手数料を引いた金額を渡すという決まりがあります。これをやると返済期日までに客がギャンブルなどをして払えなくなっても損失が出にくいのです。

そのような、あらかじめ利益をとっていくやり方を普通の歯科医院が客に気付かれないようにやってのけるのだから、恐ろしいですよね。

ウシジマくん

患者と客の違い

歯科医院とは、患者として診てもらう病院の一種だと思っていました。たしかにA歯科医院でも表向きは患者と呼ばれるでしょう。しかし、これは間違いなく「患者」ではなく「客」として成り立っているものだと思います。

僕もネットのマーケティングの仕事をしている人間であるため、利益を生むための努力は否定しません。しかし、僕は歯科医院に時間とお金を使って患者になるつもりで行ったのに、いつの間にか時間もお金も宣伝に利用される客になっていたので完全に意表を突かれました。

ぼったくりのやり方に近い

A歯科医院は、どこまで集金性を高めようとしている歯科医院なのかは分かりませんが、きっとこれからもそのやり方で運営するのでしょう。そして近所に住んでいる僕は、だんだん外観に高級感がでて綺麗になっていくA歯科医院を遠目に見るたびに、こう思うでしょう。

「もっと綺麗な歯科医院になれ。」と。

これはもっと被害者が増えろと言っているのではありません。なぜ僕がそんなことを思うのかというと、今回の事件はA歯科医院の外観が普通の歯科医院だったことにも問題があったと感じているからです。

A歯科医院の外観は他の歯科医院と変わらない普通の歯科医院なのに、内装は高級感がでており、様々な設備が整っているのです。

例えるならば、見かけは普通のお食事処。

お食事処

お腹が空いたからフラッと立ち寄れば最後、メニューは値段の書かれていない高級フランス料理のフルコースの一択しかなく、一度店に入ったのに何も食べずにでていくのかという雰囲気で脅されながら、フルコースの一品一品のメリットを長々と説明されます。そして、お腹もペコペコだし、「じゃあ、食べていくか!」という気にさせたあと、フルコースの料金はさらっと伝えられます。「1万2千円です。」と。

…何が言いたいのかというと、外観がそもそも高級感のある建物だったら客もある程度は分かった上で来院するということです。百歩譲ってA歯科医院のやり方は自分の歯に凄く関心があって、時間とお金に余裕がある人にとっては良いサービスといえるかもしれません。(それでも最初に1万2千円がかかるという説明はするべきですが。)

それだったらA歯科医院は高級な歯科医院なのだと見た目で分かるように金閣寺みたいにキラキラした歯科医院に改装したほうが良いと思うのです。そうすれば僕のような庶民は近づかず、A歯科医院が望むリッチな客だけを来院させることができます。

悪徳歯科医院へのアドバイス

本当にこういう歯科医院には、患者のための普通の歯科医院を作るべきではなく、どうせなら客のためにマーケティングに特化させるべきでしょう。もし、そのような歯科医院の院長がこの記事を見ているなら、マーケティングの観点から僕がアドバイスしてあげます。

まずは外を歩いている人にも目立つように、「○○歯科医院」という看板は海外の有名なデザイナーに作成してもらってブランド力をアピールしましょう。外装は光沢のある黒と完全にメタリックなシルバーで高級感を演出します。

待合室は高額な料金を払ってくつろげるマッサージチェアのみを配置し、払えない客は立たせておくか、あえてボロボロな椅子を配置し、マッサージチェアを使っている客との金銭的格差を視覚的に顕著に感じさせます。このとき、そういう低所得な客には待ち時間もわざと長くさせるのが効果的です。

高級歯科医院

診察券は客がお金を出して買うかたちに「イイン・ノ・ホウシン」という呪文で変更して、銀のカードは3万円、金のカードは5万円、プラチナのカードは10万円の診察券にします。

そうすることで、お金に余裕のある客の購買意欲を煽ることができるのです。もちろん客には毎回、診察するたびに診察券は出させるため、周りの人たちに「あ、あの人は銀のカードなのね。待合室でまともに座ることもできない低所得者よ…クスクス」とか「あの人はプラチナのカードよ…!私もあれくらいしないとダメね…!」と思わせることで、客は自発的に高い診察券を買うようになり、歯科医院のロゴがデカデカと入った高額なカードを周りの人にも見せびらかすようになるため、ブランド力にさらなる磨きがかかるのです。

A歯科医院には是非こんな歯科医院を目指してほしいですね。僕は行きませんが。

それでは、また。

〈 ﹏´ ›› ∋ )≪ サメーーー

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